生命保険金を受け取る場合
相続財産が多い場合には、相続税が多額になり、納税後の手取額が少なくなります。例えば、相続財産が8億円で子供のみ2人いた場合、2億9,460万円の相続税がかかります。生命保険金を2億円受け取ったとしても、相続財産の合計が10億円となり相続税が1億1,300万円増加するので、手取額は8,700万円しか増加しません。そこで、生命保険金が、相続財産にならずに受け取る方法があります。それが、「生命保険金、一時所得プラン」です。本人が契約者となり本人に生命保険をかけた場合には相続税がかけられますが、子供等が親に生命険をかけ、相続発生時に子供等が保険金を受け取ると、一時所得として所得税が課税されます。
ここで、保険金の課税関係を整理してみますと次の様になります。
契約者(保険料負担者)
被保険者
受取人
死亡保険金に係る税金
相続人
相続税
所得税(一時所得)
贈与税
相続税は最高で70%かかりますが、保険金を一時所得で受け取った場合、その保険金には最高でも25%しか所得税・住民税がかかりません。受け取った保険金が少なく、受取人の他の所得もそれほど多くはない場合には手取額が、相続税がかかるよりももっと多くなります。
一時所得の金額の計算方法は次の様になります。
一時所得の金額
総収入金額
収入を得るために支出した金額
特別控除額 (50万円)
総所得の計算上、一時所得の金額の1/2相当額を他の所得と合計する。
[設例]
<<生命保険活用前>>
相続財産
20億円
被保険者
70歳
子供2人、妻なし
相続税
10億760万円
手取額
9億9,240万円
<<生命保険活用後(相続税対象)>>
受取保険金
5億円
一時払い保険料
3億円
契約者
(保険料支払い者)
被保険者
保険受取人
<加入後すぐに相続発生>
相続税
11億2,160万円
相続税増加分
1億1,400万円
手取額
10億7,840万円
手取り増加額
8,600万円
<<生命保険活用後(一時所得対象)>>
受取保険金
5億円
一時払い保険料
3億円
契約者
(保険料支払い者)
被保険者
保険受取人
所得税・住民税
4,707万円
手取り増加額
1億5,293万円
このように、相続税の最高税率は70%であり、一時所得の場合は最高でも25%の税率となり、最終手取額が6,692万円も多くなります。
 
保険料贈与プラン
上記の一時所得プランで、子供(相続人)に保険料支払いの現金がない場合には、親(被相続人)から現金の贈与を受けて、親を被保険者とする生命保険に加入する方法があります。 保険料贈与プランです。このプランの場合、贈与の対象は子供のみに限らず、孫・子供の配偶者などの家族全体に広げて適用すると効果的です。孫に現金を毎年贈与している例がありますが、その現金で保険に加入するほうが、相続発生時において受け取る保険金が預金利回りよりはるかに上回る経済効果があるので、非常に有利になります。また、孫に保険金が支払われた場合、一時所得となり、他に所得がない場合には、税負担が相当少なくなります。相続税に関しても、相続財産が多く最高税率(70%)に近い場合には、贈与金額が300万円とすると、各人の贈与税率が20%以下となり、相当有利です。また、相続財産を贈与により減少させる効果もあります。
[設例]
祖父が孫4人に年300万、5年間贈与
贈与税
30万5,000円(各人)
終身保険年払保険料
267万円
保険金
3,000万円
孫に他の所得がない場合
(3,000万円−1,335万−50万円)×1/2=807万円
所得税・住民税
202万円
差引手取額
2,531万円
孫4人に300万円贈与することにより、孫の手取額が2,531万円増加することとなります。(贈与税の税負担については、相続税の軽減効果が上回るため、考慮しない。)この贈与プランの実行についての留意点を述べてみます。
1、 贈与契約書を作成する。 公証役場で確定日付をとって保存するほうが望ましい。
2、 贈与税の申告をする。 60万円以内でなく、100万円単位で贈与を受けて申告したほうが効果的であり、明確化できる。
3、 金銭の授受は銀行口座を通す。子(孫)の口座に入金して、その口座から保険料を支払う。
4、 親(祖父)が保険料控除をしない。